修了生メッセージ

Archive for ‘ 2012 ’

国際健康開発研究科 国際健康開発専攻 平成24年度3月修了 渡辺 陽子さん

graduates9

フィリピンで活動するNGOに就職し、プロジェクトマネージャーとしてミンダナオ島に1年間駐在しました。先住民の子どもたちの地域開発事業を担当しましたが、初めての実践の場であったこともあり、毎日が試行錯誤でした。バイクの後ろに乗って事業地がある山間地の先住民の村に行き、生計向上グル―プで活動する村のお母さんの様子や、建設中の学校を見に行く事もあれば、教育省など関係者との話し合いを行ったり、事務所でスタッフと何時間もミーティングを行うこともありました。今回、教育、保健、生計向上といった包括的な内容の事業3年目を担当する中で、持続性や成果を前に、悩むことも多くありました。そんな時、スタッフと共にチームとして力を出し合えたこと、村のお母さん達の頑張る姿に刺激されたり、そして本研究科で学んだ「学び続ければ道は開ける」という言葉が励みとなり、乗り越えることができたと思っています。まだ実践の一歩を踏みだしたばかりですが、これからも保健と地域開発の両方を軸にして実践と学びを重ねる中で、住民が主体の保健プロジェクトであるために、より効果的なアプローチ方法を突き詰めていきたいと思います。(特定非営利活動法人アイキャン(フィリピン ミンダナオ島))

国際健康開発研究科 国際健康開発専攻 平成24年度 3月修了 後藤 久美子さん

graduates8

本研究科を卒業して1年が経ちました。私は現在、妊産婦・新生児プロジェクトでアフリカのザンビアで活動しています。青年海外協力隊時代に夢見た国際保健の分野でアフリカの地で再度挑戦したいという目標が一つ実現しました。
在学中、前学科長の青木先生からいただいた「空から見る鳥の目と地面から見るミミズの目を持つことが国際保健では重要である」という言葉に感銘を受けました。1年次の講義や2年次の調査を通して、現地には現地特有の教え、風習があり、病に対する人々の認識はその土地で違うこと、またその文脈の中でどのような対策を施していくかを様々な角度から先生方に学び、その言葉の意味が確信へと変わって行きました。2年次のインターンシップでは実際にプロジェクトに入り、疾病対策を現地の人々と共に行う中で、どのように現地の人と向き合いプロジェクトを進めていくか、そしてそれに必要とされるスキルとは何かを実践的に学びました。
現在の活動は、妊産婦の死に関連する「3つの遅れ」を回避するため、マタニティハウスの建設やコミュニティヘルスワーカーへの育成を行っています。本研究科で得た「多角的な視点」を常に持ち、「現場の声」が常に反映できる活動をしていきたいと思っています。(公益財団法人ジョイセフ(ザンビア))

医歯薬学総合研究科 熱帯医学専攻 2012年度9月修了 阪下 健太郎さん(東京都立多摩総合医療センター 呼吸器科)

graduates1

私は、フィリピンのマニラに3ヶ月間滞在し、国立の感染症専門病院で結核に関するリサーチを行いました。渡航前に臨床研究に不可欠な生物統計学や医療倫理学の講義を受けつつ、研究計画書の作成と教官からの指導も頂き、希望通りの臨床研究を行うことができました。現地到着後すぐに研究協力者全員の前で英語でのプレゼンテーションを行い、討論を重ね、現地到着2週間後には、倫理委員会の承認を得て研究が開始できました。研究中の細かいトラブルや疑問点に対しても、長崎とのテレビ会議で指導教官と綿密に相談できました。このため、現地の実情に合わせ細部の軌道修正をし、帰国までには予定した症例数を集められ、現在は解析を行っています。また、臨床研究に並行して、一般病棟でも研修させて頂き、日本では見られない感染症と、そのマネジメントを経験できました。海外で、短期間に研究と臨床を同時に経験できてしまう素晴らしいプログラムです。

渡辺 陽子さん 平成24年3月修了 (NPO法人アジア日本相互交流センター・ICAN フィリピンミンダナオ島)

2014_8私は、大学生の時に国際協力の学部を専攻し地域開発に関心を持っていましたが、特に住民参加による健康改善について学びを深めたいと思い、研究科に入学しました。
ここで得られたことの一つめは、文系・理系の枠を越えた多彩な講義を受け、国際保健で求められる知識や視点を学べたことです。得られたことの2つ目は、8か月間の長期インターシップです。ネパールにある現地病院(コミュニティヘルスプログラム)にてインターン、そして同国の農村部にて新生児ケアに関する調査を行いました。インターン・調査ともに、現地の人々の協力を得ながらゴールに向かい自分で切り開いて行くことが必要とされましたが、そのプロセスはフィールドで活動していくための重要な土台になっています。
現在は、今年3月よりフィリピンで活動しているNGOの駐在スタッフとして働き始めたばかりです。これまでは、マニラの路上で暮らす子ども達への支援、レイテ島での台風被災者支援を視察してきましたが、地域の人々・関係者とのネットワーク形成や、先を見据えた支援の重要性を感じています。これからは、担当事業(ミンダナオ島にて先住民の子どもと地域住民へ教育・保健・生計向上)で活動をしていきますが、対象地域の人々の生活、自分自身の可能性も広げていけるよう努力していきたいと思います。

今野 美保さん 平成24年3月修了 (開発コンサルタント会社)

2014_7本研究科を卒業後、開発コンサルタント会社に就職して1年が経ちました。卒業は出発のスタート地点というのは本当でした。
本研究科で学んだことは、実際の現場でのプロジェクトを遂行していく中で、必要な要素ばかりです。現場ではそれらを使い、センス良く組み立て、現場の状況を判断していくことが求められます。この1年は自分の力不足を思い知り、「もっと掘り下げて知りたいこと」がたくさんできました。
国際保健の現場に一人前として貢献できるようになるためには、「知識として知っている」ことと「現場に出る」こと、どちらか一方だけでは駄目で、現場で実際に起きている問題を知り、それを解決するためにどうしたらよいかを自分の頭で考えることが大切なのではないかと思います。自分の頭で考える際、質の良い素材を使うために、勉強は継続する必要が
あると思いますが、卒後も勉強を続けられるのも、在学中に身に付けた国際保健の分野での「考え方がわかる」、「勉強の仕方、調べ方の検討がつけられる」という、基礎があってこそできることではないかと思います。
これから入学される皆様は思う存分自分の勉強のためだけに、貴重な2年間が使えますので、贅沢な時間になることでしょう。また、熱心で温かい先生方や2年間同じ時間を過ごす素敵な仲間が待っていることと思います。

天池 なほみさん 平成24年3月修了 (公益財団法人 ジョイセフ・ガーナ共和国)

2014_6基礎・基本があるからこそ物事の選択ができ、時には飛び込む勇気や捨てる勇気も持て、次第に創造へと転換していくのではないでしょうか。研究科に入学するまで、看護業務において個を対象として相互成長を
目指したケアをしてきました。その後、青年海外協力隊に参加し、モザンビーク共和国での看護教育や地域連携への関わりを通して公衆衛生の重要性を目の当たりにし、集団に対しての知に基づいたアプローチが必要と考え進学を決めました。研究科では多様な分野を学術的・体系的に理解すると同時に、特にケニア共和国農村部のコミュニティに密着した事業や子どもコホート研究を通して母子保健、文化人類学分野における様々な経験を通して学びを深めたこと、教授陣やMPH生を始め視野の広がる刺激的な出会いを得られたことは大きな財産となっています。言葉、情報、活動等が人と人とをつなぎ選択肢をもたらすことができる、その基礎を現場力・実践力を磨きながら学び、自分自身とも対峙する貴重な時間をもてたことは、非常に有益な経験となりました。
卒業後の現在、すべての人が「健康」を受け入れ自分のものとし、自らの意思による選択が出来るよう、人間中心・繋ぐ役割を重視したアプローチに魅力を感じて活動しています。皆に支援してもらいながら、充分な基礎・観察をもとにしたコミュニケーションにより、相互に気づき、共に感じることが人間成長、動きにつながることを少しずつ実感しています。

小野 真代さん 平成24年3月修了

2012_8二年間の修士課程で最も有益であったことの一つに、文化・医療人類学的視点を得たことがあります。入学前に途上国で活動を行った際に、それまでに自分が培ってきた価値観を現地の人々に押し付けてしまい、物事が思い通りに進まないことに苛立ちを感じた経験がありました。世界中には多種多様な文化が存在し、それは時代と共に移り変わるものです。現地の人々の文化、生活、習慣に見合った活動でないと、受け入れられないどころか現状を悪化させてしまうこともあります。二年次にケニアで母子保健に関するプロジェクト活動とフィールド調査を行った際に、一年次に学んだ上記の視点がとても役立ちました。専門領域はリプロダクティブヘルスですが、幅広い視野が必要であることを痛感しました。現在は博士課程に進学し、疫学・統計学の知識を含め、再びフィールド調査に挑戦したいと考えています。皆さんも研究科のカリキュラムを通して、ご自分なりの大切な視点を発見されてはいかがでしょうか。

佐々木 絵理子さん 平成24年3月修了

2012_7私は薬剤師として青年海外協力隊に参加したのをきっかけに、全体的な視野を身につけようと本研究科に入学しました。この2年間はとにかく一生懸命勉強しました。授業はとても面白いです。現場に近い先生方の臨場感あふれる熱心な講義に、ぐいぐい引き込まれていったのを覚えています。本当に沢山の分野を学ぶので大変ですが、やりがいがあります。
研究科の特徴の一つである長期インターンシップでは、研究活動も行いました。私はマラウイにおける保護者の小児用医薬品理解度について調査しましたが、現地の倫理委員会を通すことに始まり、リサーチアシスタントを雇い、調査を実際に行うといった活動を、先生方の事務の皆さん、また、現地の共同調査者の方々に支えられたおかげで、困難もありましたが、充実した、何にも変えがたい貴重な体験になると同時に、協力隊時代に感じていた疑問を解決することができ、研究の楽しさも知りました。
また、助け合いながら勉学に勤しんだ、個性の光る仲間との2年間、そして物事を多角的にとらえ、広い視野で俯瞰できるようになったと感じられるまでに至ったことも財産です。これからも弛まず努力し道を切り開いていこうと思います。

飯島 真紀子さん 平成24年3月修了

2012_6世界はまるでわからないことばかりだ、というのが私のこの研究科に入学する前の気持ちでした。そして修了した今も、やはり世界のことはまるでわからない。わからない世界が広がったなあ、というのが感想です。バラバラの人間がバラバラの認識を持っていて、バラバラのままそれでも世界は進んでいく。ただそれだけ。しかしだから面白い。知りたい。うまく行かないことを少し後押ししたい。長崎には学生・教員を問わず興味深い人間が沢山います。なんだかこの2年間は、MPHという目標に向かう学生11人の小さいプロジェクトのようでした。これまで自分が全く知らなかった分野で生きている人たちと出逢い、話し合えたことは、とても貴重な体験でした。
わからない世界に対する様々な視線があり、其々がそれぞれの場所で、自分を信じて生きていくしかない。ですが、様々な視線を知って生きるのか、知らないでいきるのか、は大きな違いだと思います。これからこの世界の中で何を考え、何を目的に何を信じて生きるのか、2年間すべての出逢いを通じて私は皆からそのヒントをもらい、少しだけ前に進んだような気がします。これから何をしようかな。

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