保健医療システム・政策に関する世界最大規模の国際シンポジウム「HSR2024」

HSRとは
HSR(正式名称:Global Symposium on Health Systems Research)は、保健医療制度の研究に関する世界最大の学術組織であるHealth Systems Global (HSG) が2年毎に開催する世界規模のシンポジウムです。大学等の研究者や行政等の実務者のみならず、世界の保健医療分野の規範・基準を策定する世界保健機関(WHO)をはじめとする国際機関、そしてNGOがエヴィデンスを共有し対話を行うユニークな国際シンポジウムであり、その目的や形態、規模は通常の国際学会とは一線を画すものです。
開催概要
主催者:Health Systems Global (HSG)
共同ホスト:長崎大学、国際協力機構
開催日時:2024年11月18日(月)~22日(金)
会場:出島メッセ長崎 (長崎県長崎市尾上町4-1)
テーマ:Building just and sustainable health systems: centering people and protecting the planet 「公正で持続可能な保健システム:人々を中心として地球を守る」
長崎大学は、2024年11月18日~22日に開催された第8回シンポジウム「HSR2024: The 8th Global Symposium on Health Systems Research 2024」の共同ホストとして国際協力機構(JICA)とともに選出されました。この世界最大級の国際シンポジウム開催に向け、長崎大学およびJICAを中心に国立国際医療研究センター(現JIHS: 国立健康危機管理研究機構)、日本国際交流センター(JCIE)、長崎国際観光コンベンション協会、日本国際保健医療学会、世界保健機関(WHO)健康開発総合研究センター、グローバルヘルス市民社会ネットワーク、長崎市、アジア開発銀行駐日代表事務所の計10団体で国内組織委員会(LOC: Local Organizing Committee)を組成。アカデミアのみならず、行政組織や国際援助機関、市民社会組織からの参画と協働を得ることで、開催に向けた盤石の体制を整えました。
開催報告
HSR2024には110カ国から1,552名の保健行政・保健システムの研究・立案・実施・支援に関わる専門家が参加、ここ長崎の地に集結しました。今回のメインテーマは「Building Just and Sustainable Health Systems: Centering People and Protecting the Planet」、地球温暖化への対応を視野に入れつつ、人々を中心に据えた保健システムの構築と強化を目指すものでした。
このメインテーマを構築する4つのサブテーマに基づき、全体セッションが計 4 セッションが開催され、さらに企画セッション(58 セッション)、能力強化セッション(25 セッション)、個別セッション(口演・ポスター含む 857 演題)、サテライトセッション(60 セッション)が 5 日間にわたり行われました。11 月 19 日の開会式では、国会対応で会場参加できなくなった武見敬三 前厚生労働大臣による基調講演がビデオメッセージ形式で行われ、歓迎レセプションでは大石賢吾 長崎県知事ならびに鈴木史朗 長崎市長から挨拶を頂くなど、国や長崎を代表する要人の参加も得ることができました。
こうした多くのセッションが行われた中で、プラネタリーヘルスを掲げる長崎大学も世界に向けてその存在感を十二分に発揮しました。特に注目を集めた全体セッション I「Planetary Health and Health System」では、渡辺知保 長崎大学学長特別補佐が座長を務め、ニュージーランド元首相ヘレン・クラーク氏をはじめとする 4 人の著名なパネリストとモデレーターが登壇しました。このセッションでは、気候変動や格差といった新たな脅威に直面する現代において、公平で強靱な保健システムの構築が求められていることについて、多角的な議論が展開されました。サテライトセッションでも、長崎大学の熱帯医学研究所、核兵器廃絶研究センター、医歯薬学総合研究科、離島・へき地医療学講座、プラネタリーヘルス学環の 5 組織が一堂に会し、1 日半にわたるオムニバス形式で「Reducing Global Risk: Interdisciplinary Research from Nagasaki to Achieve Planetary Health」 をテーマとしたサテライトセッションを開催しました。
このHSR2024を通し、長崎大学が誇る包括的な研究成果、グローバルヘルスへの貢献の一端が世界に向けて発信され、そのプレゼンスをさらに強調する機会となりました。
長崎大学の学術発信にご参画頂いた全ての先生方、完璧な準備を整えてくださった事務職員の皆様、そしてボランティアとしてシンポジウム運営を支えてくださった留学生や卒業生を含む75 名の長崎大学学生の皆様に、心より感謝申し上げます。また、今回の開催準備に際し、長崎一丸となってご尽力い頂いた長崎大学以外の全ての皆様にも、改めて深く御礼申し上げます。まことにありがとうございました。
これまでのHSR
HSRはモントルーで2010年開催の第1回以来、第2回北京、第3回ケープタウン、第4回バンクーバー、第5回リバプール、第6回ドバイ、第7回ボゴタと世界の各大陸の主要都市で2年ごとに開催されてきました。第8回となったHSR2024はアジア大洋州で2回目、もちろん日本では初の開催となりました。
HSR2024 国内組織委員会
「HSR2024」では共同ホストの長崎大学、JICAに加え、次の団体が参画し国内委員会(Local Organizing Committee)を構成しています。
長崎大学
国際協力機構(JICA)
国立健康危機管理研究機構
長崎市
世界保健機関(WHO)健康開発総合研究センター
日本国際交流センター
グローバルヘルス市民社会ネットワーク
長崎国際観光コンベンション協会
日本国際保健学会
アジア開発銀行駐日代表事務所