よくわかるSDGs講座シリーズ | アジア・アフリカの保健医療の現場を中心に、SDGsの全体像を習得し、企業・教育現場・市民社会などでSDGsを推進するためのヒントを探すための講座シリーズです。

第2回講座 高齢者(地域包括ケア)

講演1「日本の高齢者たち~地域での実践から~」
新田國夫(地域包括ケア研究会 新田クリニック理事長)


【講演要旨】 人口78000人の国立において、介護保険発足後の新たな社会的ニーズに対して地域でどのような見守り体制の構築が必要かを考えてきた。 既存のサービス体制だけではなく、市民の参加も含めて協議を繰り返し行ってきた。 2025年までの目標としては要介護高齢者に対して医療介護連携システムの構築を主眼とした。 在宅療養推進協議会が作られ、2019年度8月には50回となる。 市民も含めて多職種が参加する会議には、システムの規範的統合が求められた。 規範的統合は国立市としての方向性に対して基本的理念を統合していくことである。 地域包括ケアシステムは時代の変化とともに深化する過程をとる。 内容においては、中重度要介護者に対して統合ケアプランを多職種で行う体制、軽度要介護者の自立支援、虚弱高齢者、元気高齢者の参加、就労支援、生活支援、また複合的福祉ニーズを持つ人々、孤立、虐待 ネグレクト セルフネグレクト、貧困に対する取り組も地域包括ケアシステムの構築の中で解決していくことである。 新たな社会的ニーズは超高齢者が急増し生活ニーズが増大したことである。 生活は多様であり平均像では語れなくなる。 介護よりも生活ニーズが主要となり、介護は生活の一部として必要となる。 超高齢者の急増は急性期疾患から非急性期の対応へと変化する。急性疾患が減少するわけではないが対応が多様となり、本人の意思決定が重要な時代でもある。地域づくりもまた一元的対応ではなく多様な対応を構想し、多様な人たちが必要とすることを考えることになる。

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講演2「日本の高齢者たち~地域での実践から~」
迫田朋子(ジャーナリスト 元NHK解説委員)


【講演要旨】 日本の高齢化率は、戦後すぐの5%にも満たなかった時代から超高齢社会とよばれる21%を超え、現在では30%に迫るまでになった。戦後75年の高齢者ケアの歩みは、高齢化が急速にすすむなかで日本社会が直面し試行錯誤してきた歴史でもある。そのなかでも、地域のさまざまな取り組みが制度を動かすきっかけともなってきた。古くは、岩手県の旧沢内村が行った老人医療費無料化は、保健師の予防活動等と相まって高齢者対策のモデルとなったが、無料化だけが全国に広がった結果、老人病院が急増し社会的入院を引き起こし、医療費を圧迫する事態となった。その後、2000年に介護保険が登場、今また、高齢者ケアの歴史は施設ケアから地域ケアへと移行している。現在、国の方針としてすすめられている地域包括ケアは、医療と介護を一体化し、地域ぐるみで支えあう仕組みである。基礎自治体である市町村の取り組みが重要だが、地域によって格差が生じている。市民とともにどう地域づくりをすすめるのか、国立市での実践などをもとに考える。

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