よくわかるSDGs講座シリーズ | アジア・アフリカの保健医療の現場を中心に、SDGsの全体像を習得し、企業・教育現場・市民社会などでSDGsを推進するためのヒントを探すための講座シリーズです。

第2回講座 長崎大学SDGs研究センター創設記念シンポジウム

開場挨拶 TMGH SDGs研究センター創設説明:片峰茂(長崎大学学長特別顧問)

お祝い挨拶 上川陽子(法務大臣 自民党SDGs外交議連会長)

概要
・SDGsは途上国向けだったMDGsに代わる先進国も含めた国際社会共通の開発目標。
・北極圏は地球公共財であり、法の支配の下で持続可能な開発を目指すSDGsの実践。
・2016年に政府SDG推進本部を設置、アクションプラン2018は「法の支配」「UHC促進」等8つの優先課題。今年2月の経協インフラ戦略会議でUHCとアジア健康構想、母子健康の促進。
・長大TMGHは教育・研究・実践を一体化し、議論と実務をシームレスに体得する画期的な場。SDGs研究センターには国々の違いに合わせた保健医療SDGsに関する取り組みを期待。

各界の取り組み紹介1 SDGsの世界的な流れ:池上清子(長崎大学 TMGH研究科教授)

概要
・MDGsからSDGs、だれ一人取り残さない、社会変革、多様なステークホルダーズが展開。
・企業の事例。イケアはジェンダー配慮、経団連Society5.0企業行動憲章で「持続可能な社会の実現」。
・ガーナ政府でのコミュニティー全員のwell-being、堺市セーフシティ「安全なまちづくり」。
・市民社会はネットワーク形成と生活者としての政策提言。バングラデシュ政府VNRの発表。
・2019年はSDGsサミット、G7&G20、TICADへと続く。SDGs目標間の負の影響を排除。

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各界の取り組み紹介2 SDGsと企業:笹谷秀光(株式会社伊藤園 顧問)

概要
・企業のSDGs取組みはESG(環境・社会・企業統治)に加え連携・協働で新たな価値を創造すること、白川郷の屋根ふき替え共同作業「結」がSDGs17の象徴、日本から発信チャンスだ。
・17項目は5つのP(people, prosperity, planet, peace, partnership)でシンクロと理解と実践。
・古来からの三方よし(自分、相手、世間)、でも陰徳善事では通じない、発信型三方よしが大事。
・ESG(環境、社会、統治)は2015年パリ協定で概念化、2018年はSDGs実装元年。
・ESG投資とSDGsの関係。SDGsに沿う企業がGPIFの投資先となる。
・企業の取り組みは、従来のCSR(慈善活動)から本業の経済価値と社会価値の同時実現(Creative Shared Value)へ。企業例エリクソン、日本政府はSDGsアワード創設。
・SDGsプラットフォームからPPAP(行動するパートナーシップ)へ。

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各界の取り組み紹介3 障がい者・高齢者の防災に向けての地域づくり:村野淳子(大分県別府市危機管理課職員)

概要
・実際の被災体験、失敗の繰り返しの検証。みんなが助かるための取り組みを基本方針とした。
・障がい当事者が自ら参加、準備する防災活動も含めた全国初の差別禁止条例の設置。
・各地域ごとにハザード対応を数値化、障がいのある人の特徴をも把握し、「いつ」「なにを」「だれが」を細部にわたり協議決定しておくこと。
・災害救援、高齢者障がい者、外国学生や子供も含めた当事者と問題解決窓口とつなぐシステム。支援相談員が地域の当事者に現状を助言。地域の人の知り合い関係性ができることが重要。

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各界の取り組み紹介4 アカデミアの取り組み:平山謙二(長崎大学熱帯医学研究所所長)

概要
・顧みられない熱帯病NTDsとは「貧困や差別に関連し、公衆衛生により改善しうるのに、診断・治療薬・対策開発への資源配分が少ない、熱帯地域に偏った疾患」でSDGsの対象。20種。
・2012年のロンドン宣言で、2020年までにNTDs制圧方針。現実は足踏み。
・NTDsへの日本のイニシアチブは国際寄生虫対策、UHCへと拡大。SDGsの根幹。
・長大熱研はアジアアフリカの研究拠点を中心にSTREPS、AMED、JICA技協等、一括抗体測定技術を用いたNTDsの広域監視体制を同窓生ネットワークで構築。オリセット効果共同研究等。
・アカデミアは長期的な展望でコミット、アカデミア・公共・民間パートナーシップ(PPP)必須。

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各界の取り組み紹介 コメンテーター1:秋野公造(参議院議員)

概要
・ケニアのスナノミ対策、沖縄での筋萎縮難病取り組みで当事者含めた地道な取り組みの重要性を認識、「制度の隙間を埋める普段の取り組み」がSDGsのアプローチにつながる。

各界の取り組み紹介 コメンテーター2:鈴木秀生(外務省地球規模課題審議官)

概要
・日本の国際競争力を強める社会変革を目指して、総理自らリーダーシップでSDGs推進本部を設置。SDGs推進はソフトパワーを強化し、世界の消費者の注目を得る共通言語となる。
・アクションプラン3つの柱は、企業、地方との連携、そして次世代と女性のエンパワーメント。アジアの人材サイクルは日本の高齢化も救う。
・国連ボランティアを派遣するグローバルヘルス信託基金を設立。市民のSDGs参画意識の高揚を期待している。

会場との質疑応答

概要
Q1. SDGsの目的は「平和な世界」と思う。健康を輸出、その次に来る方針は何か?
A1. 健康輸出の考えは持ってない。自らの考えで選択し、手に入れる力を持つことが目的(池上)、支援先の持続性が目的と思う。スパー・スプレッターによる発信。次の世代との連携。(平山)
Q2. 発信の際、いかに途上国の社会実相に合わせた発信をするか?
A2. 発信し仲間を増やし、イノベーションを起こす。市民が選択するチャンスを提供。企業の本業力を使ったイノベーションの創生、 そしてコラボするための発信が大事(笹谷)。
Q3. 企業のインセンティブは何か?
A3. 投資家も見ている。中小企業は変革が早い。「開発」というあいまいな言葉より「発展」という捉え方の方が共通言語となりやすい。クールジャパン、インバウンドをターゲット、レガシーを残すこと。 企業ブランディングと社員の意識向上のシンクロ効果(笹谷)
Q4. 子供たちに対するSDGs教育のアクションは如何に?
A4. 学校現場、PTAとの話し合い、ゲーム感覚で子供にアクセス。当事者からの発信を子供は素直に受け止める。災害時に盛り返す力を普段から作る(村野)

閉会挨拶:北潔(長崎大学 TMGH研究科科長)