よくわかるSDGs講座シリーズ | アジア・アフリカの保健医療の現場を中心に、SDGsの全体像を習得し、企業・教育現場・市民社会などでSDGsを推進するためのヒントを探すための講座シリーズです。

第5回講座 アフリカの現場の取り組み

講演1「保健医療人材 世界的潮流とフランス語圏アフリカでの取り組み」
永井真理 (国立国際医療研究センター 国際医療協力局 医師)

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講演2「子供の死亡率を下げる試み-ナイジェリアのSDGs対応」
坂井スオミ (元国連児童基金(UNICEF)ナイジェリア事務所代表)


【講演要旨】 ナイジェリアはSDG達成に重要である。二億の人口、つまりサハラ以南のアフリカ(以下アフリカ)の人口の20%です。アフリカ妊産婦死亡の29%、世界の19%またアフリカの5歳未満乳幼児死亡の25%、世界の13%がナイジェリア人です。 気候・民族・文化が多彩でガバナンスも連邦制で複雑です。保健統計を分析すると北部は南部、中部と比べてサービスが行き届かないアクセス問題があります。質の面では全国的に課題が残っています。 結果を出すヘルスシステムは政治的な意欲、マネジメントのキャパシティーそして責任を問える透明性が必要です。ナイジェリアでこの三つの要因を、既存のデータと新しいテクノロジーを使って、増進しようという試みが始まっています。
 African Leaders Malaria Alliance は大統領、大臣のアライアンスで各国の進捗状況を比べるスコアカードを作っています。スコアカードは一枚にまとまるよう指標の数を限定し、色を使って進捗状態の識別をしています。四半期に1度と頻繁にアップデートしてリーダーに忘れさせないようにしています。データをわかりやすく提示して競争心を促し政治的意欲の向上を図っています。 国同士の比較だけでなく州や地区を比べるスコアカードも作成されました。このレベルではルーチンデータを多く使います。ルーチンデータは質の問題がありがちですが、使いつつ改善していきます。従来はデータ質向上目的でデータ入力のトレーニングをしましたが、データを使わないことが多くありました。使わないから誰もしっかりデータを記録していませんでした。使うことによって質を上げていく原理のもとにスコアカードは普及しています。
 ナイジェリアでも州の下の行政区のLGAを比べるスコアカードを導入してLGA長の競争心を促す試みがあります。マネジメントを強める試みもあります。LGAの各施設を比較したスコアカードを作り、見えてきた問題を解決すべくインフォームド・サポーティブ・スーパービジョンを始めようとしています。スコアカードは結果の透明性をも高めます。 データと身近なテクノロジーを使ってチームでインターアクティブに情報を考察し、行動に移し、責任を追及する時代になりつつあります。 

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